思考のかけら

日々頭に浮かんだことを、徒然に雑然と書いていきます。

老師との対話

老師との対話「種蒔き⑤」

老師 僕が見た夢には続きがあるんだよ。 夢の中で種蒔き人が種を蒔き終わると、驚くべき早さで季節が移り変わり始めた。春は心地よく、夏は蒸し暑く、秋は涼しく、冬は寒かった。それぞれの季節が種を育んだ。季節のもたらす風や光は、時にはきびしく、時に…

老師との対話「種蒔き④」

老師 いやはや、ありがとう。君からこんなに長い演説を聞けるとは思っていなかったから、少し驚いてしまったよ。しかし君としては、私を驚かしてやろう、というよりは、早いところ自分の考えを言い切ってしまって、出来る限り速やかにこの場を後にしたいと思…

老師との対話「種蒔き③」

若者 はい、まだあります。抜け落ちていた第二の点は、その種が蒔かれる土地の種類への言及です。 先程は種の種類について触れましたが、それら多種多様な種と同様に、種を受け取る土地もまた多種多様であるということです。 一口に土地と言いましても、それ…

老師との対話「種蒔き②」

老師 どんな重大な点を見落としていただろう? 若者 それを取り上げる前に確認しておきたいのですが、種蒔き人によって蒔かれる種というのは、まさしく教育者が施す知恵のようなものと考えて間違いないでしょうか? 老師 もちろん私もそのように考えているよ…

老師との対話「種蒔き①」

老師 おはよう。こんな朝早くに呼び起こして申し訳ないと思っているんだが、取り急ぎどうしても君の意見を聞きたくなったのだ。今すぐでなければ、私の考えが頭からするりと逃げ出してしまいそうなのだ。 若者 おはようございます。珍しいこともあるものです…

老師との対話「砂つぶ」

若者 老師さま、私には悩みがあるのです。 老師 何でも話してくれたまえ。年寄りの一番の楽しみは、若い人の話し相手になることなのだから。 若者 ありがとうございます。最近特に思うことがあるのです。それは、私は結局何者にもなれないのではないか、とい…

老師との対話「政治家と裏金」④(終)

若者「こんにちは、老師さま。さあ、話の続きをお願いします。」 老師「僕もそろそろこの話を終えたいと思っているよ。さて、例の通り昨日の話を思い出させてくれたまえ。」 若者「はい。国民を益するために高級料亭が必要であるならば、政治家がそのような…

老師との対話「政治家と裏金」③

若者「こんばんわ、老師さま。今日もお会いできて光栄です。さあ、先日からの続きをお願いします。」 老師「連日の外出というのも、年寄りにはつらいものだがね。さあ、始めようか。それでは君、また昨日話した内容を思い出させてくれたまえ。」 若者「はい…

老師との対話「政治家と裏金」②

若者「こんばんは、老師さま。今日も来てくださったのですね。どうか昨日の話の続きを聞かせてください。」 老師「危うく度忘れしてしまうところだったよ。さて、それでは早速始めようか。君の帰りが遅くなって奥さんに怒られないようにね。」 若者「よろし…

老師との対話「政治家と裏金」①

若者「老師さま、あなたにお伺いしたいことがあります。何故政治家という連中は、揃いも揃って汚い人間ばかりなんでしょうか?国民の税金を湯水のようにくだらない交際費なんかに使って、私は憎くて仕方ありません。」 老師「どうやら君は政治家に不満を持っ…