思考のかけら

日々頭に浮かんだことを、徒然に雑然と書いていきます。

葦の就活

何でもよいので、あなた自身を何かに例えてください。 はい、私は葦のような人間だと思います。 どうして葦なんでしょうか。 はい、踏みつけられても折れることなく、どんなことにも耐えていける人間だと思うからです。 それについて具体的なエピソードはあ…

「木林森」1限目

一年二組の小川先生は黒板に「木」を書いた。 「皆さんはこの漢字を知っていますか。」 40人いるクラスメイトの半分くらいが手を真っ直ぐ天井に向けて挙げた。皆が口を同じ形に横に引き伸ばしながら「き」「き」と叫び出した。 「じゃあゆうやくん」 手を挙…

パンドラと希望

パンドラというのは、ギリシャ神話に登場する女の名です。彼女は開けてはならない瓶の蓋を開けてしまい、あらゆる厄災が世界中に広がりました。しかしその瓶の底にはただ一つ、「希望」が残っていたということです。これが人の持ちうる最後のもの、どれほど…

ハンカチの玉座

一人住まいの女がベランダから顔を出すと、目線の下に、見慣れた工場のトタン屋根を確認することができた。元々灰色だったトタンが錆びついて茶色になったのか、錆びついたトタンを上から灰色に塗ったのか、それも判別できないほどに茶色と灰色が入り混じり…

足組み

多くの勤め人が帰路につく電車の中でのことである。 車内は満員御礼というわけでもなく、向かい合わせに並べられた座席シートには、およそ人一人分の間隔を空けて、示し合わせたようにお互いの領域を守り合いながら、一日の勤めを終えて疲れた人々が座ってい…

強風と少年

とても風の強い日のことです。ある心優しい少年が一人で街を歩いていました。 歩道の脇には、強風に倒された自転車が沢山地べたに寝そべっていました。周りには沢山の人が歩いていたのですが、誰一人として自転車を起こそうとはしません。少年は不思議に思い…

女たちのバレンタイン

明美の働く部署は、男性2人に女性3人の、合計5人で構成されている。その女性のうちの1人が、ここでは係長を務めている。もう1人の女性は、明美より2年先輩の、智子である。そして明美は、去年の春に入社したばかりの新入社員である。 2月14日のことである。…

マンホール

よく雨が降った日の翌日のホームルームで、太郎の在籍する3年2組の担任教師である南は、いつも生徒に見せる和やかな笑顔を浮かべながら全員に向かって話した。 「昨日はすごい大雨でした。土砂降りで洪水のような日は、マンホールが開いてしまうこともありま…