生者の呼び声
何を悩んでいるの?
あなたのいるべき世界はここでしょ?
真面目に汗水垂らして働いて、そのおかげで美味しいご飯が食べられるんでしょ?
タダ飯が美味しいなんて、そんなことありえないわよ。
あなたは自分がこの世界に来た時のこと、多分覚えていないわね。
そうよ、私だって覚えていないわ。
でも、あなたはたくさんの人に祝福されてこの世界にやってきたの。
祝福されるものって、良いものでしょ?
悪いものは祝福されたりしないわよね。
もしかしたら悪くて強い人に怯えて、仕方なく祝福したりすることもあるかもしれないけど、そんなの本当じゃないわ。
あなたは間違いなく本当に祝福されたのよ。
祝福されたあなたは、この世界に望まれてやってきたってことなの。
そしてあなたを祝福してくれたたくさんの人も、この世界に望まれて暮らしているの。
その人たちだって、また他のたくさんの人たちに祝福されてここにやってきたわ。
誰もがお互いに祝福しあってるなんて、とても素敵な世界だと思わない?
みんなできる限りここにいるべきなのよ。
だってこの世界がそれを望んで祝福してくれたんだもの。
ここにいられる時間は、本当に短いの。
その短い時間を、あなたは自分からもっと短くしようっていうの?
この世界を納得するまで見たつもり?
あなたみたいな若い人が、知ったかぶりして格好つけるなんて、みっともないことよ。
もっと謙遜になりなさい。
この世界を嫌いになるのは、しっかり納得するまで見てからにしなさい。
じゃないと、私はずっとあなたのことを負け犬扱いすることになるわ。
見るべきものから目を背けて逃げ出した負け犬だってね。
私だってこの世界のことはほんの少ししか知らないし、見たことがないのよ。
そう、多分私もあなたも、全部を見ることは出来ないわね。
でも、大事なものを一つ見るだけでもいいじゃない。
あっちに行っても忘れないように、しっかり目に焼き付けておきましょうよ。
遠くに行かなくたって、それはすぐ近くにあるはずよ。
どうしてもあっちに行きたいっていうのなら、私があっちに行ってからにして。
変な声なんて聞かないで。
勇気を持って。
あなたはこの世界で生きていくのよ。