思考のかけら

日々頭に浮かんだことを、徒然に雑然と書いていきます。

新婦による誓いの言葉

<神父>

「あなたは健やかなる時も、病める時も、富める時も、貧しい時も、この人と愛し合い、支え合い、共に生きていくことを誓いますか?」

 

<新婦>

(ああ、とうとうこの時がやってきたのね。未来の旦那様は今さっきキリッと「はい、誓います。」って言ってくれたわ。そういえば神父も新婦も、どっちも読み方は同じしんぷだわ。じゃあさっきの問いは神父様からのものと見せかけて、実は私から旦那様への質問でもあったってことね。まあもしこの人がこんな土壇場で「いいえ、誓いません。」なんて言ってたら、多分この場で私とお母さんの手で二度と立ち上がれないくらいにぼこぼこにしてるところよ。でもそんなことありえないもん。私たちこんなに愛し合ってるんだもの。それにしても、こんな厳かな人生最高の瞬間に、即答しちゃうのも全然ロマンチックじゃないわ。早すぎず遅すぎず、この瞬間を最高に味わいつくしてから答えようっと。もちろん答えはずっと前から決まってるんだけど。じゃあ暇つぶしに神父様の質問をまじめに考えてあげるわ。まず健やかなる時。私はいたって健康そのもの。旦那様もまあちょっとだけ腹筋も割れてるし、元気そのものって感じかな。私も元グラビアアイドルだったから容姿ならその辺の女にならしばらく負ける気がしないわ。まあグラビアやってたことは旦那様には隠し通さないと。ようし、これからも旦那様に愛してもらえるようにずっと綺麗でいないとね。というわけで、健やかなる私と旦那様はいたって健全に愛し合っています。病める時。私は病気知らずだから病める時なんて考えられないわ。強いていえば、赤ちゃんが生まれそうな時の陣痛くらいかしら。でもあれは病気だなんて呼ばないわ。ああ、この人と私の赤ちゃん。超絶にイケメンか美人の子が生まれるに決まってるわ。そんな子を生めるなら今すぐ陣痛でもOKよ。でもそんな時でもきっと旦那様がそばにいてくれるし、手も握ってくれるわ。そんな私たちが愛し合えないわけないでしょ。富める時。ちゃんと二人とも正社員で働いてるし、貯金もしてもらってるはずだから、まあまあ常に富める状態でいられるはずよ。まあ私は旦那様に愛してもらうために色々と美容とかお洋服とかにお金かかっちゃって、貯金がほぼゼロなのは黙ってるけど、それは仕方ないわよね。全部旦那様のためだもん。そういえばこの間宝くじで1万円当たったわ。確実に金運が回ってきてるわよ。お金がすべてじゃないけど、あればもっと幸せに愛し合えると思うわ。二人なら絶対に大丈夫。貧しい時。さっきも考えてたけど、私たちに貧しい時なんてきっと訪れないわ。まあもし二人とも何の仕事もできなくなっても、超絶にイケメンか美人の子供たちが芸能界でいっぱい稼いでくれると思うから、問題ないわ。もし芸能界にいけなくても、顔がいいだけで色んな人が子供たちのお世話をしてくれるから、そこから私たち夫婦の面倒を見てくれたりもするわよ。ていうか私もかなり美人なんだから、しばらくこの顔で食っていけるんじゃないかしら。というわけで私たちはいかなる時も愛し合えます神父様。ようし、そろそろ頃合かしら。お父さん、お母さん。私はとうとうこの日を迎えました。今まで大事に育ててくれてありがとう。いまこの瞬間から、私はこの人の妻となります。ちゃんとそこで聞いててね。そして旦那様!誰よりもあなたに向かって言います!)

「はい、誓います。」