糸電話
ボタンを押せばすぐにつながる
あの人とさえすぐに話せる
最後の一桁がいつも押せない
怯えて一からやり直す
頭の中では何度も話した
あとは口に出すだけ簡単なこと
通じると思えば辛くなる
いっそ無理ならどれだけ楽か
私の糸はほんとにあるのか
ほんとに誰かとつながっているのか
見えれば容易く断ち切るものを
見えないからこそすがりつく
あんたが代わりにかけてくれ
ここを一回押すだけさ
なんなら代わりに話しておくれ
あんたが好きに話しておくれ
話は聞いてるほうが好き
口にするのはあんたに頼もう
いつまで経っても変わらない
話は全く進まない
糸の先にいるものならば
手繰り寄せればここに来る
何度巻いたかわからない
あんたも巻くのを手伝ってくれ