思考のかけら

日々頭に浮かんだことを、徒然に雑然と書いていきます。

媚びによる横顔の消滅

画家や歌手、漫画家や作家等に代表されるアーティストは、ファンを獲得することで長期間の安定した活動が可能となる。

知名度の上昇に伴い、ファンの数もどんどん増えていく。

アーティストの側から「ファンになってください」とお願いするのではなく、勝手にファンがついていく。

 

私にも長年好きで尊敬しているアーティストがいる。

私はその人のどこに惚れたのだろう?

提供してくれる作品が好きなことは勿論だけれど、一番の要素はその「横顔」にあると思う。

 

何かに全力を込めて取り組む時、人はその目標のみを見つめており、脇目を振ることなど考えない。

その眼差しは真剣そのもので、一種の熱を帯びている。

恋愛でも、何かに全力で取り組んでいる横顔に胸がキュンとなったりするけれども、それと似ているかもしれない。

ファンの私などには目もくれず、ひたすらに自分の作品に打ち込んでくれる。そんな姿に私は惚れる。

 

上記のように、ずっと素敵な「横顔」を見せ続けることができれば、ファンはずっとついていくのだろう。

では一方で、ファンがついていかなくなるときとは、どんなときだろう?

それは、もはや横顔を見せるのではなく、「正面顔」を見せるようになったときだと思う。

その「正面顔」は、ファンに媚びるときに現れる。

 

人が誰かに媚びる時、その顔は相手に向けられており、ヘラヘラした情けないふざけた顔を見せ付ける。相手の正面に立ってヘラヘラにやけるのである。

「これからもどうぞ一つよろしくお願いします」とでも言いたげな顔である。

この時、相手からはもう横顔は見えない。ただふざけた顔が正面でへらへらしている様を認めるだけである。

ファンはそのアーティストの横顔が好きでファンになったのに、以前の真剣で熱を帯びた横顔をもう見ることができない。見たかったのは、そんなふざけた正面顔じゃない。

もっと素敵な横顔を見せてくれる人がいるはずだ。他を探しに行こう。

 

 

私の尊敬するアーティストには、これからも私などには一切目もくれず、進むべき前の道だけを見つめていてほしい。これからも素敵な横顔を見せてほしい。

そして私自身も、自分の進むべき前の道だけを見つめていたい。

 

 

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