おめでとう。
君はまた一つ歳をとったね。
僕も昨日よりまた一つ歳をとったよ。
君は一年に一度だけ歳を数える。
僕は毎日歳を数える。
お互い同じ時間を生きてきたけど、僕の方が君より365倍も歳上なんだな。
君は去年も同じ月と同じ日に誕生日を迎えたんだったね。
一年を何度も繰り返してるんだな。
何月何日って数えながら、次に来る誕生日を待ってるんだ。
僕は君のような数え方をしない。
毎日を誕生日として数えてるからね。
同じように巡ってくることはないんだ。
僕は毎日生まれ変わって、毎日歳をとる。
今は何万歳だったかな。
君は僕と比べると、ずいぶん若く見えるね。
僕は生まれたときから歳を数え続けてきた。
君がずっとこどもだってはしゃいで遊んでた間も、僕はずっと歳を重ねていた。
ずっとこどもでいるのも良かったんだけど、やっぱり僕の性には合わなかった。
君は毎年、歳を重ねるたびに悲しそうな顔をするね。
僕もこどもの頃は怖かったさ。
いつの間にかまわりの友達からどんどん離れてしまってるんだもの。
でも今じゃ楽しみなんだ。
どこまで歳を重ねられるか、わくわくするんだ。
君にもそう思ってもらえたらなあ。
僕には君のように、繰り返せる一年がない。
毎日ただ時間を進むだけさ。
前だけ見てればいいっていうシンプルさが好きなんだ。
それじゃ僕はこれで。
今の歳のうちにやらなくちゃならないことがあるんだ。
君も自信を持って歳をとってね。
あらためて、誕生日おめでとう。