2017-12-01から1ヶ月間の記事一覧
急ぐ車。普段の通勤時間に見られるような飛ばし方ではない。嫌々ながら走っているわけではない。向かう先に早く着きたいという、喜ばしい期待感にあふれている。窓越しに見える車内の顔も、優しくほころんでいるようだ。 郵便局。年内に郵便窓口に駆け込む人…
「おばあちゃん、何かお話して。」 こっちへおいで。昔話を聞かせてあげようね。 昔あるところに、二つの井戸を持つ村があったんだ。どちらの井戸も村長さんのものでね、それぞれが二人の息子達に一つずつ管理されていたんだ。 兄も弟も村人達に慕われて、ど…
小学校の校区の一画には、「しらない人にもあいさつしよう」という立て看板が置かれていることがある。どんな人とも挨拶をして、地域の人々との繋がりを大切にしようというわけである。物怖じせずにコミュニケーションを取れる子供を町ぐるみで育てたいので…
こんなところで何を? 「見ればわかるでしょう、子供たちにプレゼントを配ってるんですよ。」 お仕事は何を? 「今はしてませんよ。どうでもいいでしょうそんなこと。」 ご家族の方は? 「一人ですよ。それ以上は聞かないでください。」 この辺りに住んでお…
ボタンを押せばすぐにつながるあの人とさえすぐに話せる 最後の一桁がいつも押せない怯えて一からやり直す 頭の中では何度も話したあとは口に出すだけ簡単なこと 通じると思えば辛くなるいっそ無理ならどれだけ楽か 私の糸はほんとにあるのかほんとに誰かと…
先日訪れた美術館で、中学生の団体が先生達に引きつられて鑑賞に来ていた。どの子も課題となる感想レポートを手に持ちながら、限られた時間内でのクリアを目指していた。 横に解説が書かれている大きめの作品は取っ掛かりやすいらしく、多くの子が集まって課…
今月はずっと油を売っているのですが、全く売れません。油はなかなか売れないものだと聞いてはいましたが、こんなに見向きもされないなんて思っていませんでした。あのおばさんはこうなることを知っていて、私に油売りを勧めてきたんだと思います。売る物が…
マンションなどの集合住宅のポストの脇にはゴミ箱が置かれていることが多い。日々頼みもしないのに勝手に入れられる不要なチラシはこちらにどうぞ、というわけである。 捨てられるチラシは大体いつも決まっていて、住宅販売のチラシやピザ屋のチラシ、ネット…
近所に老夫婦が営む昔ながらの銭湯があり、週一回はお世話になっている。 玄関は開けっ放しで、外から男湯と女湯の入り口が見える。入り口の仕切りは曇りガラスになっているのだが、気合いを入れて目を凝らせば、男女どちらの脱衣場も透けてしまいそうなほど…
おめでとう。 君はまた一つ歳をとったね。 僕も昨日よりまた一つ歳をとったよ。 君は一年に一度だけ歳を数える。 僕は毎日歳を数える。 お互い同じ時間を生きてきたけど、僕の方が君より365倍も歳上なんだな。 君は去年も同じ月と同じ日に誕生日を迎えた…
未だ枯れえぬ想いの樹誰が水やり誰が陽をやる 愛と呼ぶのは重すぎる恋と呼ぶのは軽すぎる 愛は真心恋は下心いつでも心は日の目を見ない 誰にも教えを請うことなく誰にも教えを説くことなく 春は過ぎ去り夏が行く秋は遠のき冬が来る 1年2年3年4年待てど暮…
一つの時代が終わりを告げて 新たな時代が私を導く 遠く忘れた思い出が いつでも私の心を捕える 誰とも知らぬ人の背中に 恋の記憶を探し求める 昨日と同じ今日を生き 今日とは違う明日を願う 皆と同じ方を向き 誰とも違う道を行く 一人で生きていけるさと 強…
ふと中学生の頃を思い出す。 私の学校では毎日、日直当番というものがあった。授業の開始時に号令をかけたり、休み時間の間に黒板を掃除したり、クラスの一日を日誌にまとめたりするのが主な仕事だった。この当番はいつも男女ペアとなるように、それぞれが名…
遠足の前日、元気のいい男の子が「先生、バナナはおやつに入りますかー?」と尋ねるという、誰もが知っているワンシーンがある。私としてはバナナもおやつに入れて問題ないと考えているが、ここではその可否は問題にせず、そもそも何故バナナをおやつに入れ…
若者「こんにちは、老師さま。さあ、話の続きをお願いします。」 老師「僕もそろそろこの話を終えたいと思っているよ。さて、例の通り昨日の話を思い出させてくれたまえ。」 若者「はい。国民を益するために高級料亭が必要であるならば、政治家がそのような…
みなさん、お元気ですかー!アイデアテレホンショッピングの時間でーす!今日もとっておきの商品をご紹介しますよー!今日はですね、一日に最低5冊の本を読まないと気が済まないという、本多さんに来ていただいております!本多さん、今日はよろしくお願いし…
若者「こんばんわ、老師さま。今日もお会いできて光栄です。さあ、先日からの続きをお願いします。」 老師「連日の外出というのも、年寄りにはつらいものだがね。さあ、始めようか。それでは君、また昨日話した内容を思い出させてくれたまえ。」 若者「はい…
若者「こんばんは、老師さま。今日も来てくださったのですね。どうか昨日の話の続きを聞かせてください。」 老師「危うく度忘れしてしまうところだったよ。さて、それでは早速始めようか。君の帰りが遅くなって奥さんに怒られないようにね。」 若者「よろし…
若者「老師さま、あなたにお伺いしたいことがあります。何故政治家という連中は、揃いも揃って汚い人間ばかりなんでしょうか?国民の税金を湯水のようにくだらない交際費なんかに使って、私は憎くて仕方ありません。」 老師「どうやら君は政治家に不満を持っ…
<神父> 「あなたは健やかなる時も、病める時も、富める時も、貧しい時も、この人と愛し合い、支え合い、共に生きていくことを誓いますか?」 <新婦> (ああ、とうとうこの時がやってきたのね。未来の旦那様は今さっきキリッと「はい、誓います。」って言…
<神父> 「あなたは健やかなる時も、病める時も、富める時も、貧しい時も、この人と愛し合い、支え合い、共に生きていくことを誓いますか?」 <新郎> (とうとうこの時がきたか。この問いに肯定の意思を示せば、俺はついに一国一城の主となる。しかし自由…
まったくてめえはいい身分だよ。 そうやってニャーニャー泣いてれば、俺みたいなやつにも相手してもらえるんだもんな。 もしてめえがウキッウキッとか言うようなやつだったら、迷わず背負い投げをお見舞いしてるところだったぜ。 なんだ、首輪がついてるじゃ…