思考のかけら

日々頭に浮かんだことを、徒然に雑然と書いていきます。

老師との対話「政治家と裏金」③

若者「こんばんわ、老師さま。今日もお会いできて光栄です。さあ、先日からの続きをお願いします。」

老師「連日の外出というのも、年寄りにはつらいものだがね。さあ、始めようか。それでは君、また昨日話した内容を思い出させてくれたまえ。」

若者「はい。政治家がその仕事をしっかり果たせているのであれば、たとえどんなに休もうが無駄話をしようが、僕はその人に文句を言えないのであり、また実際にその仕事を果たせているかどうかということは、政治に関する知識に乏しい僕には判断できないことだ、というところまで話が進んだと思います。」

老師「ありがとう。では君に聞くが、政治家が会議と称して、ひっそりと高級料亭で食事をしながら関係者たちと雑談しているとしたら、君はどう思う?」

若者「国民の税金を使ってそんな贅沢をしているなんて、それこそ許せないというものです!」

老師「ところで政治家がその仕事をしっかりと果たしているかどうか、政治に関する知識に乏しい君は判断できないのだったね?」

若者「昨日の話で、そこに行き着きました。」

老師「それでは政治家が高級料亭に税金を使って行っていたとしても、君は批判できないのではないかね?」

若者「しかし税金を使ってそんな所に行くなんてことは、明らかに批判されるべきです。」

老師「ところで税金とは何のためにあるのかね?」

若者「国民を益するために使われるべきものです。」

老師「そして政治も、同じく国民を益するものだね?」

若者「そのはずです。」

老師「国民を益する政治のために使われる税金を、君は誰に委ねているのかね?」

若者「政治家に委ねています。」

老師「ではその政治家が国民を益する政治のために、税金を使って高級料亭に行くのも、仕方のないことだと私には思えるのだが。」

若者「どういうことでしょう?」

老師「君は誰かに重要な打ち明け話をするとき、どんな場所で話をするかね?」

若者「人目につかない場所を選ぶでしょうね。」

老師「その打ち明け話ができる相手とは、どんな性質を持つ人かね?」

若者「口が固い人です。」

老師「場合によっては口止め料として、高価な物をあげたりすることもありうるかね?」

若者「あるかもしれません。」

老師「ちょうど高級料亭に行く政治家も、それを行っているのだ。高い金を払って、店員の誰もが秘密をバラさないようにね。というより、そもそもそういう料亭で働いている者というのは、皆口が固いのだがね。そしていい年をした大人というものは、何かしら飲んだり食べたりしながらでなければ、中々会話も捗らないものなのだ。」

若者「そんな目的があったとは考えていませんでした。」

老師「政治家に最もしてほしいこととは、国民を益する政治をしっかり果たしてもらうことだね?」

若者「もちろんです。」

老師「もし彼らが高級料亭に行かなければ、君の言う国民を益する政治を成し遂げられないのであれば、どう思うかね?」

若者「仕方のないこと、と考えるべきなのでしょうか?何だか言わされているようでしっくり来ませんが。」

老師「そういうことにしておこう。さあ、今日はこの辺にしておこうか。あまり長く話すのも、年寄りの身体には応えるのでね。」

若者「そうですね。それではまた明日お会いできることを楽しみにしています。」

老師「私が忘れていなければね。」