思考のかけら

日々頭に浮かんだことを、徒然に雑然と書いていきます。

自然に反する言葉

先日訪れた美術館で、中学生の団体が先生達に引きつられて鑑賞に来ていた。どの子も課題となる感想レポートを手に持ちながら、限られた時間内でのクリアを目指していた。 横に解説が書かれている大きめの作品は取っ掛かりやすいらしく、多くの子が集まって課…

油売りの女

今月はずっと油を売っているのですが、全く売れません。油はなかなか売れないものだと聞いてはいましたが、こんなに見向きもされないなんて思っていませんでした。あのおばさんはこうなることを知っていて、私に油売りを勧めてきたんだと思います。売る物が…

ピンクのチラシ

マンションなどの集合住宅のポストの脇にはゴミ箱が置かれていることが多い。日々頼みもしないのに勝手に入れられる不要なチラシはこちらにどうぞ、というわけである。 捨てられるチラシは大体いつも決まっていて、住宅販売のチラシやピザ屋のチラシ、ネット…

近所の銭湯

近所に老夫婦が営む昔ながらの銭湯があり、週一回はお世話になっている。 玄関は開けっ放しで、外から男湯と女湯の入り口が見える。入り口の仕切りは曇りガラスになっているのだが、気合いを入れて目を凝らせば、男女どちらの脱衣場も透けてしまいそうなほど…

誕生日おめでとう

おめでとう。 君はまた一つ歳をとったね。 僕も昨日よりまた一つ歳をとったよ。 君は一年に一度だけ歳を数える。 僕は毎日歳を数える。 お互い同じ時間を生きてきたけど、僕の方が君より365倍も歳上なんだな。 君は去年も同じ月と同じ日に誕生日を迎えた…

恋と愛

未だ枯れえぬ想いの樹誰が水やり誰が陽をやる 愛と呼ぶのは重すぎる恋と呼ぶのは軽すぎる 愛は真心恋は下心いつでも心は日の目を見ない 誰にも教えを請うことなく誰にも教えを説くことなく 春は過ぎ去り夏が行く秋は遠のき冬が来る 1年2年3年4年待てど暮…

さよならとこんにちは

一つの時代が終わりを告げて 新たな時代が私を導く 遠く忘れた思い出が いつでも私の心を捕える 誰とも知らぬ人の背中に 恋の記憶を探し求める 昨日と同じ今日を生き 今日とは違う明日を願う 皆と同じ方を向き 誰とも違う道を行く 一人で生きていけるさと 強…

好きな人との日直当番

ふと中学生の頃を思い出す。 私の学校では毎日、日直当番というものがあった。授業の開始時に号令をかけたり、休み時間の間に黒板を掃除したり、クラスの一日を日誌にまとめたりするのが主な仕事だった。この当番はいつも男女ペアとなるように、それぞれが名…

バナナはおやつに入りますか?

遠足の前日、元気のいい男の子が「先生、バナナはおやつに入りますかー?」と尋ねるという、誰もが知っているワンシーンがある。私としてはバナナもおやつに入れて問題ないと考えているが、ここではその可否は問題にせず、そもそも何故バナナをおやつに入れ…

老師との対話「政治家と裏金」④(終)

若者「こんにちは、老師さま。さあ、話の続きをお願いします。」 老師「僕もそろそろこの話を終えたいと思っているよ。さて、例の通り昨日の話を思い出させてくれたまえ。」 若者「はい。国民を益するために高級料亭が必要であるならば、政治家がそのような…

テレホンショッピング「つまらない本」

みなさん、お元気ですかー!アイデアテレホンショッピングの時間でーす!今日もとっておきの商品をご紹介しますよー!今日はですね、一日に最低5冊の本を読まないと気が済まないという、本多さんに来ていただいております!本多さん、今日はよろしくお願いし…

老師との対話「政治家と裏金」③

若者「こんばんわ、老師さま。今日もお会いできて光栄です。さあ、先日からの続きをお願いします。」 老師「連日の外出というのも、年寄りにはつらいものだがね。さあ、始めようか。それでは君、また昨日話した内容を思い出させてくれたまえ。」 若者「はい…

老師との対話「政治家と裏金」②

若者「こんばんは、老師さま。今日も来てくださったのですね。どうか昨日の話の続きを聞かせてください。」 老師「危うく度忘れしてしまうところだったよ。さて、それでは早速始めようか。君の帰りが遅くなって奥さんに怒られないようにね。」 若者「よろし…

老師との対話「政治家と裏金」①

若者「老師さま、あなたにお伺いしたいことがあります。何故政治家という連中は、揃いも揃って汚い人間ばかりなんでしょうか?国民の税金を湯水のようにくだらない交際費なんかに使って、私は憎くて仕方ありません。」 老師「どうやら君は政治家に不満を持っ…

新婦による誓いの言葉

<神父> 「あなたは健やかなる時も、病める時も、富める時も、貧しい時も、この人と愛し合い、支え合い、共に生きていくことを誓いますか?」 <新婦> (ああ、とうとうこの時がやってきたのね。未来の旦那様は今さっきキリッと「はい、誓います。」って言…

新郎による誓いの言葉

<神父> 「あなたは健やかなる時も、病める時も、富める時も、貧しい時も、この人と愛し合い、支え合い、共に生きていくことを誓いますか?」 <新郎> (とうとうこの時がきたか。この問いに肯定の意思を示せば、俺はついに一国一城の主となる。しかし自由…

犬のおまわりさん

まったくてめえはいい身分だよ。 そうやってニャーニャー泣いてれば、俺みたいなやつにも相手してもらえるんだもんな。 もしてめえがウキッウキッとか言うようなやつだったら、迷わず背負い投げをお見舞いしてるところだったぜ。 なんだ、首輪がついてるじゃ…

切りのいい釣り銭

小銭が財布に溜まっているとき、レジで勘定をする際にはできるかぎりそれらを処理してしまいたい。例えば360円を請求された場合、ちょうどその額が財布になければ、510円とか1010円などを払って、10円以下の小銭を減らすことを考える。上手く財布の中が掃除…

掘り起こした先生の手紙

お久しぶりです。 この手紙が読まれているということは、きっと皆さんが同窓会を開いて、昔校庭に埋めたタイムカプセルのことを誰かが思い出して、みんなで掘り起こしたのでしょう。 案外しっかりしたカプセルだったようで、先生は安心しました。 目で見て読…

出べそのお母さん

昨日、2組の北野に「お前の母ちゃん出べそ」って言われました。 今時そんな言葉を使う人がいるなんてびっくりしましたが、多分アホのあいつのことだから、昔の漫画か何かを読んで覚えて、つい使ってみたくなったんだと思います。 でも私もその言葉は人をバカ…

心と体

具体的に言うと、今私の右の鼻には大量の鼻水が溜まっている。鼻の奥の方から湧き出してくるので、応急処置的に鼻をかんでも次から次へと泉のように湧いてくる。ついでに左の鼻にも鼻水が溜まってくる次第で、息苦しいことこの上ない。鼻が詰まると脳味噌も…

魔女の一撃

おや、あんたも魔術を習おうってのかい。 最近は見習いに来る若いのが多いねえ。 こんな老いぼれのどこに憧れるのか知らんが、まあ年寄りの暇つぶしにはなるかね。 わしも色々魔術は心得とるがね。 中でもお気に入りなのが、あんたらが「魔女の一撃」って呼…

生者の呼び声

何を悩んでいるの? あなたのいるべき世界はここでしょ? 真面目に汗水垂らして働いて、そのおかげで美味しいご飯が食べられるんでしょ? タダ飯が美味しいなんて、そんなことありえないわよ。 あなたは自分がこの世界に来た時のこと、多分覚えていないわね…

死者の呼び声

お前は何をもたついてるんだ? 早くこっちに来いよ。 こっちは極楽だぜ。 そっちみたいにあくせく働く必要なんてねえ。 腹が減って辛い思いをすることもねえ。 食っても食っても腹がいっぱいになることもねえ。 つまり常時食い放題ってわけだ。 俺もそっちに…

渋滞時の車線選択

高速道路においても下道においても、公道を走る限り渋滞というものには否応なしに遭遇してしまう。この渋滞は出来ることなら早く抜け出したいものである。バイクは幻の車線を自ら作り出して走り去っていく場合もあるが、車も出来ることなら我先に前へ前へと…

すれ違い方

前方からやってきた人とすれ違うとき、お互いに進路をずらそうとすることにより、図らずも相手の進路を妨害してしまうことがある。妨害時にはお互いに体を左に一振り、右に一振りして、合わせ鏡のように同じ動作をする。この動作をすることで思わぬ友情が芽…

自殺の名所

名所という言葉には、有名な場所、という意味がある。自殺するにも有名な場所があり、その場所はしばしば「自殺の名所」と呼ばれる。 「自殺の名所」と呼ばれる場所には、一体どんな特徴があるのだろう? まず最低条件は、その場所での自殺者が多い、という…

スーパーの左回りと右回り

私はほぼ毎日近所のスーパーに通っている。その日の晩御飯のことは、そのスーパーに行ってから判断する程度には頼りきっている。今日もいつもと同じスーパーに寄って帰ってきた。 いつも何の気なしに店内を回っていたが、最近その回り方について考えていた。…

無限の数字

数字というのはとても便利でわかりやすいものだ。これを見れば自分がどれだけのものを持っているか、相対的にどこに立っているのか、ある程度把握できたりする。 試験の成績は数字で示されることがほとんどである。仕事の成果も、必ずしも反映されるとは限ら…

本の読み方

本を読んで、全体の要約やあらすじを書くことがしばしば推奨される。学校の国語の授業でもそれを求められてきたし、私もそれを長い間大切なことだと思ってきた。 確かに全体の枠組みを捉えることは、一つの体系として把握するために有効だと思う。人に本の内…